わたしの足の治りは悪く、まだ思いきり左足をつけない。重心は右で左足を引きずる感じで、おばぁちゃん並みに動きが鈍い。
でも行かねばならぬ…
今回の義実家へ帰ったのは義母の介護認定の担当者会議のためだ。2週間前帰ったばかりなのに結構な頻度で用事が舞い降りてくる。コロナのため会議は玄関前、要するに外。椅子を並べてもらい義母を含むケアマネ、施設管理者2名とわたしたち6人でこれからのケアプランの説明や現在の問題点などを話し合った。
午前中とはいえ、真夏の炎天下、義母のために集まって、こんなに色々考えてくれる。
『たまらん、暑いーーー』とは心の声…そんなことは言っちゃいけない。
要支援2から1に下がっていた。義母はますます絶好調のようだった。顔色もいい。
義母はベッドに替えてとしきりに訴える。この施設は脚力を強化するため直置きのマットを推奨されており、たしかに以前より足腰がしっかりしてきたように思う。『97歳でも進化するんだ。』と驚いていたところだ。杖代わりに肌身離さず使っていた買い物カートを気がつけば押さずに歩いていたりする。ただやっぱりベッドの方が楽なので、替えてほしいそうなのだ。
一旦言い出したら、あきらめないのが義母らしいところ。
わたしはそれについて何回も話し合うのは面倒だし、義母の気持ちを優先したいし、ケアマネもどちらかというと義母の気持ちに寄り添いがちだ。オットと施設の社長さんはマットから立ち上がる効果を客観的に見れているのだろう。なかなか「うん」と言わない。
義母は自分を貫き通す生き方をずっとしてきた。上品な口調でいくつかの要望を常に唱えている。
「早くベッドに替えてちょうだい、あそこはわたしの一生の住処よ。わたしが欲しいって言ってるんだから。2ヶ月前から頼んでるのにどーして叶わないのかしら」
『ですよねー』断然、義母寄りのわたし。
「わたしの力不足ですみません。そうなんですよねー、社長と話してみますねー(汗)」のケアマネさん。
ケアマネさんは板挟みになってかわいそうだ。
一旦、義実家に帰るとオットがバタバタと何かを動かしている。ずいぶん前に使っていた折り畳みの畳ベッドだ。「これならいいかも知れん」
高さは25㎝ほどでかなり低い。立ち上がる負担も少ないが普通の高いベッドより運動にもなりそうで足腰にはちょうど良いという気がした。さっそくケアマネに写真を送ると施設側と相談してくれた。
やっとOKが出た。義母も「これでいい!」と言ってくれた。第一希望のベッドではなかったが妥協してくれたのだ。
結局低いベッドを置くという、三方良の結果になったがこの件ひとつにしても、人それぞれの考え方があるものだとつくづく思った。
義母の気持ちを優先か、客観的に見てそれが適切という施設側が本当か。(もちろん負担の大きな人はベッドで対応されている。)
正直疲れて、早くこの問題終わらせようとするわたしはいちばんずるいのかも知れない。
あと義母の要望は家にある小さなミシンを持ってきて欲しいということ。これは針が危険と言って今のところ却下されている。
毎回、念仏のように頼まれるわたしは面倒で早く持って行ってあげたいけど、これは叶いそうにない。義母は家で着る服はほぼすべて自分で縫っていた。常識的にはダメだろうけど、『職人芸みたいなものでミシンは体に染み付いているからいいんじゃない?』と思うけど、管理する側からすれば「何かほかの安全な楽しみを見つけてください。」というのが本音だろう。
わたしみたいな感情論だけで動いてしまう人間ではつとまらないのだ。
とりあえず次の仕事は軽トラ借りてベッドを運ぶこと。
《義母のひとこと》
テレビで城島さんを見たら○○○○(オット)を思い出すよ、ウフフ。
似てるとは思わないけど、義母の中では昔からそう変換されているらしい。安心した。
毎回、同行(おりこうちゃん)
車窓から
最終日のごちそう「いな葉」