4月から施設に入った義母の夏に向けての身の回りの品を届けに行った。
相変わらず面会は外でしか出来ないが、義母は淀みなくいつものように話し、練り物の天ぷらが食べたいと言ったので隣りのスーパーに買い行った。「おいしい、おいしい」と言いながら、30分ぐらいの面会時間を楽しんでくれた。
あれだけ家に住むことにこだわり続けていたのに家の様子が気になる様子でもなかった。そこをいちばん気にしていたのでホッとした。
ここは山が近くに見えていいよ〜、建物も見えるし、車も通るしなどなど話のネタは目の前のものだけに限られていたが不満な様子ではなかった。
わたしは真面目な義母とはあまり雑談らしいことをした記憶がないけど、今がいちばんゆっくり話せている気がするし、好きな時間だ。
窓から広間を見るとほかの利用者の方が丸くなってトランプをしていた。
『お義母さんはトランプとかしないのかな?』とオットに聞くと、「遊び方とか知らんやろ」と言った。
たしかに…
家の切り盛りと仕事の人生だったから、興味もないだろう。
「女の人は天気の話しかしないのよ、男の人の方がちゃんと話を聞くね」とかも言っていた。それ以上のことは何も言わなかったけど、97歳なりに思うところがあるのかな。最低限度の話はしても特に親しくなった人はいない感じだ。
針仕事が好きなので裁縫箱を持って行った。何か工夫して時間をつぶせるだろう。遠く離れている時は正直忘れていることも多いが空家になった義実家を見るたび、胸がちょっと苦しくなる。
わたしにも少し時間が必要だ。
というか、片付けや庭のことを二拠点でやり続けなければいけない、プチプレッシャーが背中に乗っかっている。
《義母のひとこと》
すぐ慣れた、ほんとにすぐ慣れたよ。
あれこれ施設側もプログラムを用意してくれるが、それには興味はない。刺激も要らない、ゆったりとした時間を過ごしている、と理解しておこう。