文章講座課題のため、以前のブログを書き直しています。むずかしーなー)
妊婦のE美ちゃんはある日、一時的に『ホゴネコカツドウカ』になった。そしてもう早くも廃業宣言をしているが理由はどうあれ、路頭に迷いそうな親子が現在しあわせに暮らしているのはあの時、E美ちゃんの覚悟があったからなのだ。
そして、ぼんやりしているわたしは彼女の思惑通りに里親探しの沼にハマりこんでいった。
猫は好き。でもここまで里親探しに尽力したのははじめてだった。飼い主が見つかり、燃え尽きた今では、SNSなどでは子猫の投稿にはコメントしないし、猫がいそうな散歩道は極力意識して避けている。
まだ暑さも残る10月の初め、「どうしましょう??」ちょっと甘え声っぽいメッセージでE美ちゃんは聞いてきた。今、思えばここがポイントだった。「どうしましょう?」これは半分、わたしに投げてるよね?
応援はするといってもそこまで里親探しにのめり込む気持ちはさらさらなかった。里親案件が年に何回かやってくるし、また今回もそんなご縁があったらね、ぐらいのノリだった、はずだった・・・
E美ちゃんが餌付けをしていた推定1歳ぐらいの猫、ソックス(この名前は近所のおばちゃんがつけた名前らしい)が妊娠しているというのだ。避妊手術をしてあげようと思っていた矢先のことだ。「へーーっ、そりゃ大変ね」と、最初は軽く流していた。
しばらくして、どこかで出産を終えたソックスが次々にちび猫3匹をE美ちゃんのとこに連れてきた。もう1ヶ月は経っているようで離乳食も大丈夫な大きさに育っていた。そして取り合えずの任務、3匹を保護はできた。まだ1歳ぐらいの母親は健気にも授乳に通い始めたというではないか。 その話だけでも泣けてくるのに、お乳をやる景色がどんどん送られてくる。わたしもこの親子の飼い主を本気で探さねば・・・段々、洗脳されていった。
インコののぞみちゃんも気にしてる
E美ちゃんは親猫が本気でインコを狙った話まで仕掛けてきて、単純思考回路のわたしは『ヤバイ、急がなければ!インコがやられてしまう』と用のある時だけのLINE友にまで写真を送りつけた。
普段は頼まれてもここまでの気持ちにはならない。それが何なのか自分でもわからぬまま、わたしのインスタは次第に子猫で埋め尽くされ、その投稿を楽しみにしているファンのような人まで出てきた。それはそれで嬉しいけど一向に里親になりたい人は出てこなかった。
そんな中、彼女の近所の人が2匹もらってくれる、という連絡をもらった。「あ~、あと1匹と母親ならどうにかなりそう」と気合いを新たにしたことろにE美ちゃんからのメッセージが・・・
E美ちゃん「また、驚くことが・・」
わたし 『何、何』
「あと、2匹おります」
『にゃにーーー!!』
「明日2匹渡して、振り出しにもどります」
みんな柄はグレーのキジで見分けがつかないらしい。 3+1(母)-2+2=4
2匹は里親が見つかったとは言え、振り出しに戻った。
「近所のおじさんが3,4匹おったよー、といいよったのが何か引っかかっとだけどまさか5匹とはー」と泣き笑い。
なぜここまで本気になったかと言えば、E美ちゃんが出産を間近に控えているため焦っていたのだ。オカメインコも飼っていて猫の餌食になる可能性もあり、加えてご主人が猫アレルギーだそうで、飼えない理由だらけだった。どんな事情があろうが普通は知らんけど…で済ましてしまうことが多いわたしのはずなのにいったいなぜなのだ??
E美ちゃんの母親と5匹の子猫を保護してがっつり面倒みようとする大胆かつ懐の深さにちょっと惚れてしまったのかも知れない。たぶん、自分が出来ないことをやってのけたということに感動していたのだ。普段はおっとりしているのにこの人は人を動かす力がある。わたしはこういう行動が先の人についていく癖があるようで巻き込まれ感が半端なかった。
でっかいケージにトイレ、おもちゃ、ミルクを用意し、その姿は今から生まれるわが子を思うかのように、とほほな表情とは裏腹に心底がんばっていた。畑の仕事もあるのにほんと大変だったと思う。
知り合いをシラミ潰しにあたった。色々アドバイスはいただくが、どこも手一杯で、正直なところ途方に暮れていた。もう無理かも・・・
と思い始めていたそんな中、救世主が現れた。灯台下暗しだった。仲の良い友人がいつになく必死に飼い主を探してくれている。
わたしは今までの分をひっくるめて全部、その彼女にポーンと丸投げしてしまって、その奮闘ぶりをすっかり他人事として傍観していた。
(つづく)
本物の保護活動家の方曰く、外でこれだけ5匹も立派に子育てした母親は珍しいそう。そしていちばん信頼できる人のとこを連れてきたソックスは偉い!