法事を義実家で終えた後、久々に会ったオットの叔父夫婦とおいしいと有名な七山村の蕎麦屋に行った。ここは二回目、山の中腹にあるこの店は叔父夫婦が福岡からせっせと通った大好きな蕎麦屋なのだ。
8人兄弟の末っ子だった叔父は温厚でかしこい人だ。義母を筆頭に個性豊かな親戚の寄りごとで緊張するわたしにいつも優しかった。この日も相変わらずにこやかで優しかったが、叔母曰く、認知が入ってきてるらしく、時々ふっと話が飛ぶことがあったり、昔話についていけなかったりとその兆候が見られた。
店主が自信を持って出してきた初めて見る透明緑色の蕎麦を啜りながら、笑いながら、話しながら、なんだか悲しくなってしまった。
まだひどい状態ではないが月日の流れを感じざるを得なかった。
叔父さんは多趣味だったけど今は太極拳だけを習っていると言っていた。元々の趣味は登山。日本中の山を駆け巡ったそうだ。登山初心者のわたしにはどの話もきゅんきゅんするくらい魅力的だった。
『叔父さん今度一緒に行きましょ!』と誘ってみたら嬉しそうだったけど今の叔父さんは坂道を歩くのは難しそうだった。
まだ70代なのに…
わたしたち同様、叔父さん夫婦には子どもが居ない。これからの心配は計り知れないけど、何事も悟ったような穏やかな表情だった。
まだ70代だけど免許も返納している。登山は無理でも山の見えるとこにドライブだったら喜ぶかもとオットと話した。
今度誘ってみようかな。
新蕎麦も叔父さんの話も味わい深い穏やかな一日だった。