ごきげんのツボ

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あれから三十年、山頂で何を思う。No.180

2021年夏、勝手に自分の中ではコロナを終息させ、日曜日から文章講座の縁で繋がったメンバーと大分県久住山に登ることになった。しかも先生は登山中に文章講座をすると言い出した。

『まぁ!なんてこと!』と言うことでこれを書いている。

 

『もう、二度と山登りはしたくない』と涙目で宣言した三十年前を思い出していた。花の独身時代、一緒に遊んでいた市役所に勤める男性の友人に誘われ、いきなりの久住登山に参加した。メンバーは12、3人。もちろんわたしも、一緒に参加した女子友も、登山経験はゼロだった。

その日は日頃の行いがよっぽど悪かったのか、いきなり強い雨。『えっ?まさかこの雨で登るんですか?』レベルの大雨に足がすくんだ。

ぬかるんだ黒土の登山道をツルツル滑る木の根っこを掴みながら、スニーカーにジャージの超軽装で登っていった。

 

当たり前だけど登山は登り始めたら登るしかないのだ。

 

『みやまきりしま』は美しく咲いていたはずだったけど、とにかく、スニーカーもジャージもビチョビチョで脱ぎ捨てたいくらいに泥だらけで身も心もボロボロになっていた。

山頂には雨宿りするような場所もなく、半泣きになりながら雨味のおにぎりを食べた。

 

『山登りって修行ですか?、何が面白くてこんなきついことするんですか?』って心の中でつぶやき続けていた。その頃から外面だけはよかったはずだけど、この時ばかりはスーッと無表情を保っていたと思う。淡々と山道を歩くということが、この先の人生で好きになれるとは思えなかった。

 

ただ山登り修行はともかく、今、思えばあの頃仲間と過ごした時間は大事な時間だった。よくこの面々と連んでいた。誘ってくれた一番仲がよかった男子は山登りが好きな人だった。それなりに恋愛を意識したこともあったが、お互いそんな感じにはならず、結局、縁は繋がらなかった。

 

三十年ぶりにふと懐かしくなって女子中学生のように彼のSNSを探してみると本名ですぐ見つかった。

 

全国の山を登っている投稿が優しい短い文面で綴られていた。相変わらず山が好きなんだな。

誰にでも優しく、まったく嫌な顔をするところを見たことがなかったし、自分はさておき人の世話ばかりする人だった。ただ勝手な青春時代の思い込みかもしれないが、その頃から深く何かをあきらめてるような風情がある人だった。

 

元気そうでよかった。

 

宿題のおかげで一瞬で三十年を飛び越える。

青春ありがとうって感じだ。

 

多少美化された感はぬぐえないけど、辛かった登山もいい思い出としして心にしまっておけそうだ。

 

二度と山には登らないと誓った日から、アッという間の三十年、この夏、同じ山頂に立って何を思うのか楽しみだ。登山にハマるかどうかこの久住が分かれ目な気がする。予報はくもり。

 

が、その前に山頂に立てるかどうかが心配すぎる。

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