聞いた話。
彼女の家は都会の住宅街、窓を空けてたらさまざま会話が聴こえてくるらしい。ある夜、外での電話の会話が聴こえたらしく、内容はアザラシの値段の話で『いやー高いんですよ!○○万円はしますよ』
えっ?密売?
いやいや、どーも水族館の話だったみたいで、その後も延々と勝手に聴こえてくる専門的なアザラシについての話を聞いていたらしい。
『アザラシのこととかめったに聞けんし、貴重な時間やった。』最近テレビを捨てた彼女は興奮気味に話してくれた。
普通、考えもしない場所でリアルに色んな人が動いてるんだなーと感動したそうだ。
アザラシが好きになったとも言っていた。
そして今日、河川敷にコスモスを眺めに行った。まだ五分咲きというところか。
車を停め、生協の生クリームあんぱん(抜群においしい)とアイスコーヒーでひとり花見しようと窓を開けてエンジンを停めた。
すると少し離れた車の中から、妙齢の女性がハスキーな大声で電話していた。
勝手に聴こえてくるから仕方がない。
どーも男性のことで悩んでる相手を励ましている風。「○○ちゃん!あの時からおかしいと思いよったもんねー。気にしなさんな。
なんたら、かんたら…中略
わたし応援しよるけんね!がんばり!
わたしも今日から1週間一生懸命がんばるけん。」と長い電話は終わった。
わたしはあんぱん片手に『はい!がんばります!』って思わず言いそうだったわ。
そしてその後、その女性はタバコに火をつけ、スポーツ新聞に没頭していた。上品とは言えないけどなんか渋くて人間くさい。(観察し過ぎ!)
言葉ほど相手のこと心配してたかどうか疑問だが人って案外そんなもんかもな〜と思わせてくれた。すべての人に愛情を注ぐことは出来ない。それでも少なくとも電話の向こうの相手は元気になったはずだからよしとしよう、いや、わたしには全く関係のない話。
おかげでコスモスを愛でることをすっかり忘れてしまった。
一瞬しかすれ違わない人にもそれぞれ人生があるって想像するだけでもワクワクする。
ヒマか!(笑)
来週あたりがコスモスはたぶん見頃のはず。